実家が「負動産」になる前に|相続と空き家の対策【尼崎の行政書士が解説】

「誰も住まなくなった実家、どうしよう…」 相続をきっかけに、このような悩みを抱える方が急増しています。かつては「資産」だった不動産も、適切な対策をしないと家族の負担となる「負動産」になりかねません。
2024年以降、不動産相続や空き家に関する法律が大きく変わり、国や自治体も本腰を入れて空き家対策に乗り出しています。
今回は、尼崎市周辺でご相談を受けることが多い行政書士の視点から、「空き家を放置するリスク」と「知っておくべき具体的な解決策」をわかりやすく解説します。
1. 相続発生から最初の判断は「3ヶ月」
実家が空き家になりそうなとき、まず気をつけなければならないのが「3ヶ月」という期限です。
もし空き家がボロボロで修繕費が数百万円かかることがわかったり、亡くなった親に多額の借金があったりした場合、「相続放棄」という選択肢があります。しかし、相続が開始したことを知ってから3ヶ月を過ぎてしまうと、原則として「すべて相続します(単純承認)」と認めたことになり、後から取り消すことが非常に難しくなります。
相続するか、放棄するか。その判断材料として、まずはご自宅に届く「固定資産税納税通知書」を確認し、その不動産にどれくらいの価値があるのかを把握することが第一歩です。
2. 空き家を放置する3つの「重大リスク」
「面倒だから、とりあえずそのままにしておこう」が、一番危険な選択肢です。空き家を放置すると、以下のようなリスクが降りかかります。
固定資産税が最大6倍に跳ね上がるリスク
2023年の法改正により、適切な管理がされていない「特定空家」だけでなく、その予備軍である「管理不全空家」に指定された場合も、固定資産税の優遇措置(住宅用地特例)が解除され、税金が最大6倍になる可能性が出てきました。
行政による「代執行」と高額な費用請求
倒壊の危険などがあり、再三の指導を無視し続けると、行政が強制的に空き家を解体する「代執行」が行われることがあります。その解体費用(数百万円〜)はすべて所有者に請求されます。
近隣トラブルと莫大な損害賠償責任(死亡事故のリスク)
老朽化した建物の壁や屋根が剥がれて隣の家を傷つけたり、通行人にケガをさせたりした場合、所有者が重い損害賠償責任を負うことになります。 さらに恐ろしいのは、建物の倒壊などで通行人が亡くなるような死亡事故が起きた場合です。この場合、被害者の「死亡逸失利益(生きていれば将来得られたはずの収入)」や高額な慰謝料が請求されるため、その賠償額は数千万円から数億円規模にのぼるケースもあります。放置した結果、残された家族の人生まで狂わせてしまう可能性があるのです。
「特定空家」や「管理不全空家」に指定されるまでには行政から指導などが届きます。上記のような大きなリスクに発展する前に行政に相談し対策を進めておきましょう。
3. 2024年の法改正「相続登記の義務化」
「亡くなった祖父や親の名義のまま放置している」という方は要注意です。 2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。不動産を相続したことを知ってから「3年以内」に名義変更の登記を行わないと、10万円以下の過料(罰金のようなもの)の対象になる可能性があります。これは過去の相続にも遡って適用されます。
遺産分割の話し合いがまとまらない場合は、とりあえず自分が相続人であることを申告する「相続人申告登記」という暫定的な制度も新設されましたが、最終的には正式な登記が必要になるため、早めの対応が肝心です。
当事務所では信頼できる司法書士と連携し、不動産登記にも対応いたします。
4. 「空き家」をどうする?3つの選択肢と尼崎市の補助金
空き家問題の解決には、主に「売る」「手放す」「管理・活用する」の3つの方向性があります。それぞれの場面で使える制度を知っておきましょう。
① 売る:譲渡所得の「3,000万円特別控除」
相続した空き家を売却した際、一定の要件を満たせば、譲渡所得(売却益)から最大3,000万円を控除できる特例があります。令和6年からは、買主側で解体や耐震改修を行う場合も特例の対象になるなど、使い勝手が向上しました。
参考|居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
② 手放す:「相続土地国庫帰属制度」や、尼崎市の「空き家の減少への取組」
「売りたくても売れない、管理もできない」という土地を、負担金(原則20万円程度)を支払うことで国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」が始まっています。 建物が立っていると引き取られないなど、利用に制限はありますが一つの選択肢として新たに加わりました。
また尼崎市独自の制度として「空家等寄付受け事業」があり、一定の要件を満たした空き家とその土地について、市が寄付を受け付けています。
③ 管理・活用する:尼崎市の補助金を活用
尼崎市は空き家対策に非常に力を入れており、前述の「空家等寄付受け事業」の他にも以下のような手厚い支援策が用意されています。
- 空家改修費補助:利活用のためのリフォーム費用の一部を補助
- 空家除却費補助:老朽空き家の解体費用の一部を補助
- 相続登記費用等補助:登記や遺言書作成にかかる費用の一部を補助
無接道地(道路に接していない土地)の救済策なども用意されているため、まずは市の「利活用フロー図」などでご自身の家が該当するかチェックしてみましょう。
5. 成功の鍵は「優先順位」
相続対策を進める上で、優先順位があります。
- 遺産分割対策(モメない):誰にどの財産を相続させるか
- 納税資金対策(払い切る):相続税などをどう支払うか
- 相続税対策(節税):税金をどう安くするか
「節税」ばかりに目が行きがちですが、一番大切なのは「家族で揉めないこと」です。
しかし、これらをすべて個人で解決するのは至難の業です。税金のことなら税理士、登記なら司法書士と必要な専門家は多岐にわたります。私たち行政書士も、遺産分割協議書の作成や戸籍の収集、上記の補助金等のサポートなどでお困りごとの解決に当たります。
当事務所は、各分野の専門家と連携し窓口となってワンストップで問題を解決に導くことが可能です。
まとめ:まずはご家族での話し合いから
相続にかかる諸問題の原因は、「家族との話し合い不足」です。 まずは元気なうちにご家族で「この家を将来どうしたいか」を話し合うことから始めてみませんか?
「何から手をつければいいかわからない」「どの専門家に頼めばいいかわからない」という方は、ぜひお気軽に当事務所の無料相談をご利用ください。あなたの状況に合わせて各種専門家と連携し解決までしっかりサポートいたします。





