電子定款認証を行政書士が代理で行う流れと注意点まとめ|兵庫県尼崎市 いしの行政書士事務所

株式会社を設立するには、公証役場で公証人から定款認証を受ける必要があります。
起業を考えている方の中には、定款認証の流れを知りたい人もいると思います。そのような方に向けて電子定款の認証の流れを解説します。
定款には紙の定款と、電子定款とがあります。現在は電子定款の利用が9割以上です。
電子定款 19,620件 (90.8%)
紙定款 1,979件 (9.2%)
参考:定款認証に関する実態調査 調査結果(詳細) 法務省民事局 令和5年10月
ということで、この記事では電子定款の認証について記載します。
ちなみに、紙定款と比べて電子定款には以下のようなメリットがあります。
- 収入印紙代 4万円を削減できる。
- 紙定款の製本作業を省ける。
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定款原案の作成
設立する会社の内容に合わせ、定款を作成します。作成にはWordなどの文書作成ソフトを利用してください。
記載事項の種類 | 例 |
---|---|
絶対的記載事項 定款への記載が必須の内容。記載されていない定款は無効となる。 | 事業目的、商号、本店所在地、設立に際して出資される財産の価額又はその最低額、発起人の氏名又は名称及び住所 |
相対的記載事項 記載をしなければ効力を発揮しない事項 | 株式の譲渡制限に関する規定、役員の任期の伸長、株券発行の定め など |
任意的記載事項 定款に記載しても、しなくても問題ない事項。記載しておくと内容が明確になるので記載を推奨 | 事業年度、定時株主総会の招集時期、株主総会の議長、公告方法 など |
行政書士が代理で作成することも可能です。
専門的な内容でよく分からない場合や、作成時間が取れないときは専門家へ依頼することも一つの方法です。
公証人との事前打ち合わせ
原案が作成できたら公証人に定款の内容をチェックしてもらいます。定款の内容に不備があると、設立登記ができない場合があります。
本店所在地とする場所を管轄する公証役場に連絡し、公証人と打ち合わせる日時を決めてください。
公証役場に「指定公証人」がいないと電子定款が利用できません。その場合は紙の定款で行います。
公証役場に指定公証人がいるかどうか事前に確認しておく必要があります。
指定公証人 一覧
※指定公証人:法務大臣の指定を受けて電磁的記録に関する公証事務(電子公証)を取り扱う公証人
電子署名
公証人の確認を経た後、文書作成ソフトでPDF形式にて保存し、定款に電子署名をします。

自身で電子署名する場合。
「公的個人認証サービス」、「商業登記に基づく電子証明書」などの電子証明書を事前に取得してください。
マイナンバーカード、カードリーダー、Adobe Acrobatの有料版が必要です。
行政書士による代行
行政書士に依頼する場合は、定款作成代理の委任状が必要です。
委任状には発起人全員が実印で押印してください。
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定款認証
オンライン申請
「登記・供託オンライン申請システム」の申請用総合ソフト(無料でダウンロード可)を利用して、事前に確認を受けた公証人に申請します。



- 申請書作成 をクリック
- 電子公証 > 電磁的記録の認証の嘱託【署名要】 を選択
- 嘱託人や実質的支配者、公証役場及び公証人を選択し、上部の完了をクリック



- 「ファイル添付」から事前に電子署名したPDFファイルを選択し、「署名付与」から署名を実行します。
- アクセスパスワード欄に、電子証明書のパスワードを入力
- 署名が完了したら「申請データ送信」から公証人に申請します。データが届くと到達ボタンが点灯します。
定款の謄本が必要な場合は、この時点で謄本の必要枚数などを聞かれることがあります。
公証人による電子公証
電子公証には「事前に予約した日時に公証人による公証役場を訪れる場合」と、「ウェブ会議による場合」とがあります。
以下では、行政書士に依頼する場合の流れを説明します。いずれの場合も以下のような物が必要です。
公証人に事前に確認しておいてください。
- 定款(電子署名された定款を印刷したもの)
- 委任状(定款作成代理の委任状:発起人全員が実印で押印)
- 発起人全員分の印鑑証明書(3ヶ月以内に発行されたもの)
- CD-Rなどの電子記録媒体
- 本人確認書類(運転免許証など + 行政書士証票)
公証役場を訪問する場合
予約した時間に上記の持ち物を持参して訪問します。スムーズに進めば手続きは1時間弱で済みます。
定款の謄本と、CD-Rを受け取り完了です。
ウェブ会議の場合
ウェブ会議の場合は、委任状と印鑑証明書を事前に公証人に郵送します。
事前に予約した日時に指定のウェブ会議システムにて、「本人確認」「面前審査」が行われます。そして、完了後に公証人からデータが送られてきます。
以上が電子定款の大まかな流れです。
公証役場や公証人によって差異がありますので、公証人に事前に確認を取っておいてください。
まとめ
電子定款の認証について解説しました。
定款の作成から認証までには、意外と手間や費用がかかるものです。
こうした手続きを行政書士に外注することで、本来注力すべき“価値の高い業務”に時間を使えるようになります。
ご自身で進める方法も、もちろんありますが外注という選択肢も、ぜひ一度ご検討ください。
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