墓じまいの手続きの流れと3つの必要書類|改葬許可申請|尼崎市

「実家のお墓が遠くて管理できない」「子供に負担をかけたくないから墓じまいをしたい」
そう考えて手続きを調べたものの、「改葬許可申請」という聞き慣れない言葉や、役所の手続きの複雑さに頭を抱えていませんか?
実は、改葬許可申請に必要な書類はたったの3種類です。 しかし、この手続きをスムーズに進めるために最も重要なのは、役所での事務処理ではなく、その前段階にある親族間の合意形成と、お寺(墓地管理者)との丁寧な話し合いにあります。
この記事では、墓地・埋葬に関する法律(墓埋法)に基づいた正しい手続きフローと、失敗を防ぐための「事前の段取り」を、専門用語を噛み砕いて解説します。
改葬許可申請とは?なぜ墓じまいに必要なのか
そもそも、自分の家のお墓なのに、なぜ役所の許可が必要なのでしょうか?
まずはこの「根本的な疑問」を解消しましょう。
墓埋法で決まっている「遺骨の適正な連鎖」とは
お墓から遺骨を取り出して別の場所に移す行為を法律用語で「改葬(かいそう)」と呼びます。
「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」では、遺骨の移動は個人の自由勝手な行為ではなく、市町村長の許可を受けなければならないと厳格に定められています。
これは、遺骨がどこから来てどこへ行くのかという「所在」を公的に管理し、遺骨が行方不明になったり、不法投棄されたりするのを防ぐためです。つまり、改葬許可とは、遺骨を古いお墓から新しいお墓へ安全に移動させるための、唯一の法的な「通行手形」なのです。
申請先は「現在の墓地」がある自治体
よくある間違いが、自分の住んでいる場所や、新しいお墓がある場所の役所へ行ってしまうケースです。
改葬許可申請を行うのは、「現在、遺骨が埋葬されているお墓」がある市区町村の役場です。
- 申請者: 墓じまい(改葬)を行おうとする人(通常は墓地の使用者)
- 申請先: 今あるお墓を管轄する自治体
ほとんどの自治体が郵送での手続きを受け付けています。
遠方に住んでいる場合、まずは電話で問い合わせてみましょう。
自分でできる!改葬許可申請の具体的な流れ(5ステップ)
全体の手続きは、以下の5つのステップで進みます。特にステップ1と2が、トラブルなく進めるための最重要ポイントです。
最初は役所への申請ではなく、親族全員の合意と新しい改葬先の確保から始めてください。
「勝手に墓じまいを決めた」といった親族トラブルを避けるため、費用負担や新しい供養方法について話し合い、可能な限り書面で合意を残しましょう。
改葬先(新しい霊園や納骨堂など)が決まったら契約を行い、「受入証明書(または使用承諾書)」を発行してもらいます。これが「遺骨の行き先は確保できています」という証明になります。
ここが実務上の最大の難関です。
現在のお墓の管理者(お寺の住職など)に墓じまいを相談し、承諾を得る必要があります。 お寺から合意が得られたら、「埋蔵証明書」(ここに遺骨があるという証明)を発行してもらいます。
注意: お寺との関係がこじれてしまうと、この「埋蔵証明書」を発行してもらえず、役所の手続きが進められなくなるリスクがあります。離檀の話は慎重に進めましょう。
必要な書類(後述)を揃えて、現在のお墓がある自治体に提出します。
審査が通ると、「改葬許可証」が交付されます。 これにより、法的に遺骨を動かす準備が整ったことになります。
石材店や住職と日程を調整し、遺骨を取り出します。
この際、お墓から魂を抜く宗教儀式である「閉眼供養(へいがんくよう・魂抜き)」を行うのが一般的です。 現墓地の管理者に「改葬許可証」を提示し、遺骨を引き取ります。
その後、墓石を撤去し、更地にして返還します。
遺骨を新しい改葬先へ運び、管理者に「改葬許可証」を提出して納骨します。
これで改葬手続きはすべて完了です。
改葬許可申請に必要な「3つの必須書類」の集め方
役所に提出する書類は、基本的に以下の3点です。
これらが揃えば、手続き自体は恐れる必要はありません。
1. 改葬許可申請書(申請者が記入)
自治体のホームページや窓口で入手できます。
故人の氏名、死亡年月日、本籍、現住所などを記入します。
複数の遺骨がある場合は、人数分の別紙が必要になることがあります。
2. 受入証明書(新しい墓地が発行)
「引越し先の証明」です。
新しい墓地や納骨堂の管理者が発行する、「遺骨を受け入れます」と証明する書類です。
※手数料は無料のケースが多いです。
3. 埋蔵証明書(今あるお寺・霊園が発行)
「現在地の証明」です。
現在のお墓の管理者が、「確かにここに遺骨が埋葬されています」と証明する書類です。
※改葬許可申請書の用紙の中に、管理者が署名・捺印する欄が設けられている形式が一般的です。
| 書類名 | 入手先 | 役割 |
| ① 改葬許可申請書 | 市区町村役場 | 申請のメイン書類。「誰が」「誰を」「どこへ」移すかを申告。 |
| ② 受入証明書 | 新しい墓地管理者 | 「行き先」の確保を証明する。 |
| ③ 埋蔵証明書 | 現在の墓地管理者 | 「現在地」の事実を証明する。 |
費用はいくらかかる?墓じまいと改葬の相場一覧
「総額でいくら用意すればいいのか?」は最も気になるポイントでしょう。
改葬にかかる費用は、「今あるお墓にかかるお金」と「新しいお墓にかかるお金」に分かれます。
| 費用項目 | 金額相場(目安) | 備考 |
| 行政手数料 | 無料〜数百円 | 改葬許可申請自体は無料の自治体が多い。 |
| 閉眼供養(お布施) | 3万〜5万円 | 遺骨を取り出す前の儀式へのお礼。 |
| 墓石撤去・工事費 | 10万〜15万円/㎡ | 石の量などで変動する。 |
| 離檀料(お礼) | 5万〜20万円 | お寺への感謝の気持ち(後述)。 |
| 新しい納骨費用 | 30万〜300万円 | 樹木葬・合祀墓なら安く、一般墓なら高い。 |
「離檀料」の相場と法的な考え方
これまでお世話になったお寺を離れる際、「離檀料(りだんりょう)」を包むのが慣習となっています。
相場は3万円から20万円程度と言われています。
離檀料に法的な支払い義務はありません。 しかし、一方的に「辞めます」と告げるのではなく、長年の供養への感謝としてお渡しすることで、スムーズに「埋蔵証明書」を発行してもらえる潤滑油となります。
失敗しないために!よくあるトラブルと回避策
最後に、改葬でよくある3つのトラブルと、その回避策をお伝えします。
1. 寺院との「離檀」トラブルを防ぐ交渉術
最も多いのが、高額な離檀料を請求されたり、証明書の発行を拒まれたりするケースです。
2. 親族間での「費用・供養方法」の不一致
「先祖代々のお墓をなくすなんて!」と親族から反対されたり、費用の分担で揉めたりすることがあります。
3. 一度合祀(ごうし)すると取り出せない
新しい改葬先として、費用が安い「合祀墓(ごうしぼ)」や一部の永代供養墓を選ぶ場合、他の人の遺骨と混ざって埋葬されることがあります。
まとめ:改葬許可申請は「段取り」が9割
改葬許可申請は、難解な書類作成作業ではありません。
「親族の合意」「新しい受入先の確保」「現在のお寺への誠意ある相談」という3つの段取りさえ済んでいれば、役所の手続き自体はスムーズに完了します。
まずは、ご家族で「これからのお墓をどうするか」を話し合うことから始めてみてはいかがでしょうか?
それが、ご先祖様にとっても、あなた自身にとっても安心できる「終活」の第一歩となるはずです。


