遺言書は手書きでどこまで書く?書き方をサンプルで説明|尼崎対応

遺言書は気になっていても「まだ元気だから」「財産が少ないから」
と思う方がいるのではないでしょうか。
実は財産が少なくても、家庭裁判所による遺産分割の調停が行われている事実があります(後述します)。
自分が亡くなった後の家族には仲良くしてほしい
そんな家族思いの方にこそ遺言書をオススメします。
この記事では、手書きで作成できる「自筆証書遺言」と、証人の立会いの下に作成する「公正証書遺言」について解説します。
大切な家族には揉めてほしくない
ご自身の死後に起きる家族の争いを防ぐ。その一助となるのが、遺言書です。
・財産が少ないから関係ない
相続する額が多いか少ないは、相続人の感覚によるものです。
令和5年度の「遺産分割事件の財産の価額」では、遺産が1,000万円以下の相続において
「家庭裁判所が調停した件数」は34%(総数7,234件のうち2,448件)でした1。
遺産が少ないからといって、揉めないとは言い切れないのです。
親が遺言を残してくれていた方のうち、「遺言書があって良かったと思った人」は90%以上と高い結果2も出ています。
遺言書はどうしても「死」を連想させるのでネガティブな感情が起きてしまいます。
上記のように「残された家族のため」と考えてみませんか。
遺言を残すにはまだ早い
「元気なので遺言書を書くのはまだ後で良い」そう思って結局書かない方が大半です。
認知能力が低い状態で作られた遺言書は無効になることがあります。
まだ元気なうちにこそ作ってみてはいかがでしょうか?
正しい方法を取れば、遺言の内容を後から変更することも可能です。
自筆証書遺言と公正証書遺言
前置きが長くなりました。
ここから遺言書について説明していきます。
遺言書でよく利用されているのが「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。
- 自筆証書遺言:ドラマなどでよく見かける「手書きの遺言書」
- 公正証書遺言:公証人と証人が立ち会って作る遺言書
公正証書遺言のことは、私はこの仕事に就くまでは知りませんでした。自筆証書遺言よりも公正証書遺言の方が遥かに多く利用されています。
主な特徴
特徴 | 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 |
---|---|---|
作成方法 | 自分で書いて作成する。 書くことが苦手な方にとっては負担が大きいことも。 | 公証人が、証人2名以上立会のもとに公証役場で作成する。 公証役場の手数料(財産に応じて異なる)や、証人への報酬がかかる。 |
保管 | 自分で保管または、法務局の遺言書保管所に保管(有料) | 公証役場で保管 |
メリット | ほとんど費用がかからない | 紛失、偽造、破棄などのリスクは、ほぼない。 遺言内容が実行されやすい(法律の専門家が立会いの下に作られるため) 家庭裁判所での検認は不要。 |
デメリット | 法律上の要件を満たさない無効な遺言が作成される可能性がある 遺言書の執行には家庭裁判所での検認が必要(遺言書保管所に保管した場合、検認は不要) | 作成に手間と時間がかかる(自筆証書遺言と比べて) 証人を集める必要がある |
自筆証書遺言
自筆証書の利点は、費用負担が少ないこと。
法的要件さえ満たせば、遺言者のみで作成することも可能です。
しかしながら、要件を欠いていると法的に無効となります。また、記載内容が曖昧であれば、遺言者の真意が伝わらず、遺言書としての効果が十分に発揮されない可能性もあります。
自筆証書遺言は遺言者が「自分で書くこと」が必要です。
作成に当たって注意が必要なこと
- 代筆は不可
手指が不自由な方や、体力的にしんどい方でも他の人が変わって書くことは認められません。 - 介添えは無効となることも
手が震えて上手く描けないような方でも、他の人が手を添えてサポートすると無効と見なされる可能性もあります。 - 書き直し
修正するためには決められた方法で正しく行います。場合によっては一から書き直す必要があるかもしれません。
このように書くことが苦手な方、手が震えて字が書きにくい方などには向かない方法と言えるでしょう。
遺言書の保管も問題となることがあります。
ご自身で保管するときは紛失や変造、破棄などのリスクを伴います。
これを避けるために、法務省の遺言書保管所が利用できるようになりました。
遺言書保管所を利用すると、遺言書の検認が不要になるという利点もあります。
手書きで書く事項
「全文」「日付」「氏名」を自分で手書きで書き、押印(できれば実印)します。
つまり、ほぼ全箇所です。
また、遺言書を封入する「封筒」にも自書し、押印(遺言書本文で使用した印と同じもの)が必要です。
下のサンプルのような文面を、全てご自身が手書きで作成します。
実際の遺言書では、より多くの文字を書くことになるでしょう。
自筆証書遺言 サンプル



※上のサンプルはあくまでも記載例です。
この通りに記載しても法的要件を満たすことを保証するものではありません。
公正証書遺言
公正証書遺言は「公証人3」と「証人2名以上」が立ち会いの下で遺言書が作成されます。そうして完成した遺言書が公証役場に保管される制度です。
遺言の内容が確実に実現される可能性が極めて高いこと。これが公正証書遺言の大きな利点でしょう。
遺言書は作成することが目的ではありません。遺言に残した内容が実現されることが目的です。
その後、作成した遺言書の文案を公証人が確認します。
完成した文案を公証人と証人が立会い、問題がなければ遺言者、証人が署名・押印します。
最後に公証人が必要な文言を付記して署名押印して完成となります。
このように公正証書遺言は、法律業務の経験豊富な公証人が関わる方法です。
自筆証書遺言と比べて費用や時間がかかります。しかし、遺言の内容が実行される確実性を考えると、オススメの方法です。
公正証書遺言 サンプル


※上のサンプルはあくまでも記載例です。
この通りに記載しても法的要件を満たすことを保証するものではありません。
亡くなった後も、ご家族への思いやりを
遺言書は相続争いを防ぐだけではありません。相続の手続きをスムーズに進められる利点もあります。
相続の際には「相続人の調査」や「遺産分割協議書」の作成が不可欠です。遺言を残しておくことで、これらの資料が不要になる場合もございます。
また、遺言書にはご自身の家族への思いを「付言」として残すこともできます。
これまで支えてくれてありがとう。家族には本当に感謝している。
私が亡くなった後も、家族が仲良く暮らしてくれることを切に願います。
愛する家族に感謝の言葉を残しませんか。
弊所では「自筆証書遺言」「公正証書遺言」の作成をサポートいたします。
相続関連業務 料金(報酬金額) ※税別 | ||
---|---|---|
A | 自筆証書遺言 文案作成 | 40,000〜 |
B | 公正証書遺言 文案作成 | 50,000〜 |
C | 相続人調査(相続人が3人を超えるとき、1名につき5,000円追加) | 30,000〜 |
D | 相続財産調査・財産目録作成(4箇所以上の調査は、1箇所につき10,000円追加) | 30,000〜 |
※戸籍や住民票等の取り寄せに係る費用は、報酬とは別にご請求致します。
※相続人の範囲や数、その他状況に応じて報酬が変動する旨、ご了承ください。ご相談をお聞きして報酬額をご提示します。
おすすめ
公正証書遺言プラン
100,000円〜
- 公正証書遺言の文案作成
- 相続人調査
- 相続財産調査
- 証人の手配
※「公証役場の手数料」および「証人1名」の費用は別途
おわりに
自筆証書遺言と公正証書遺言について解説しました。
いずれも自らの死後に、残された家族に思いを伝える有効な方法です。
弊所としては、遺言書の検認が不要な「公正証書遺言」または、「自筆証書遺言」を遺言書保管所に保管する方法をオススメします。
残されるご家族のために遺言書を作成してみませんか。
弊所が遺言書の作成をサポートします。
まずは無料相談から
- 令和5年度司法統計年報3家事編 https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/719/012719.pdf ↩︎
- Authense法律事務所「親の相続経験に関するアンケート」(2024年3月)
↩︎ - 法律実務の経験豊かな人から法務大臣が任免する法律の専門家 ↩︎