遺言書で家族を守れない?4つの対策を行政書士が解説

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この記事で分かること

  • 法的効力がなくても重要な「付言事項」の活用法
  • 遺言書でも変えられない「遺留分」への対策
  • 事実婚パートナーを守るために必要な準備
  • トラブルを防ぐ遺言書の形式選びスト

「遺言書を書いておけば安心」と思っていませんか?

実は、遺言書を作成したにもかかわらず、家族間でトラブルになってしまうケースは少なくありません。遺言書が元になって裁判に発展する事案も見られます。

問題は、遺言書の「書き方」にあります。財産の分け方を記すだけでは不十分なのです。

この記事では、相続の現場で実際に起きている問題をもとに、家族を本当に守るための遺言書作成のポイントを4つご紹介します。

目次

対策1:「付言事項」で家族の心に寄り添う

遺言書には、財産の分配とは別に「付言事項(ふげんじこう)」というメッセージ欄があります。

付言事項とは? 遺言書の最後に書き添える、家族へのメッセージです。実は、この部分には法的な効力はありません。しかし、相続トラブルを防ぐ上で、非常に重要な役割を果たします。

なぜ付言事項が重要なのか

相続争いの多くは、金額よりも「気持ち」の問題から始まります。

  • 「なぜ兄だけが多くもらえるの?」
  • 「私は大切にされていなかったのか」
  • 「理由を説明してほしかった、、、」

こうした感情的なわだかまりが、家族の関係を壊してしまうのです。

不言事項に書くべき3つのこと

  1. 分配の理由 なぜこのような分け方にしたのか、考えを伝えましょう。
  2. 感謝の言葉 家族一人ひとりへの感謝を具体的に書きます。
  3. 願い 遺された家族に仲良く暮らしてほしいという想いを伝えます。

家族と、強いわだかまりがあっても不言事項には恨み辛みは決して書かないようにしてください。

付言事項の文例

長男の太郎へ 
実家を継いでもらいたく、この家を相続させます。 母の介護も頼むことになり、負担をかけて申し訳ない。

 次男の健ニ、三男の誠へ
 家を太郎に譲る分、現金を多めに分配しました。 兄を支えてやってください。

 3人とも、ここまで立派に育ってくれてありがとう。 いつまでも仲の良い兄弟でいてください。そして母さんを支えてあげてください。

付言事項によって、遺言書は単なる指示書から「最後の手紙」に変わります。

対策2:「遺留分」を理解して事前に備える

「自分の財産だから、自由に分けられる」と思っていませんか?

実は、遺言書を書いても、法律で保護された「遺留分」を無視することはできません。

遺留分とは?

配偶者や子どもなど、一定の相続人に保証された最低限の取り分です。

遺留分の割合

  • 配偶者と子ども:法定相続分の1/2
  • 親のみが相続人:法定相続分の1/3
  • ※兄弟姉妹には遺留分なし

具体例で理解する

【ケース】 父が亡くなり、相続人は母と子ども2人(長男・次男) 遺産:4,000万円

遺言書の内容:「全財産を長男に相続させる」

この場合、母と次男には遺留分があります。

  • 母の遺留分 :1,000万円(4,000万円×1/2×1/2)
  • 次男の遺留分: 500万円(4,000万円×1/4×1/2)

母と次男は、長男に対して上記の金額を請求できます(遺留分侵害額請求)。

こんな方は要注意

✅ 特定の子供に多くの財産を残したい

✅ 自宅を長男に継がせたい

✅ 再婚相手と前妻の両方に子供がいる

✅ 子供がおらず、相続人が配偶者と自分の兄弟姉妹になりそう

✅ 事業承継で後継者に自社株を集中させたい

遺留分を無視した遺言書は、かえってトラブルの種になります。事前の準備が大切です。

対策3:事実婚パートナーを守るために知っておくべきこと

長年連れ添った事実婚(内縁)のパートナー。しかし現在の法律では、婚姻関係がないパートナーには相続権がありません。

遺言書に「〇〇に△△を遺贈する」と明記することで、パートナーに財産を残せます。

ただし、2つの大きな壁があります

  1. 配偶者控除が使えない
    法律上の配偶者であれば、最大1億6,000万円まで相続税がかかりません。しかし事実婚パートナーには、この特例が適用されません。
  2. 相続税が2割増し 
    通常の相続税に加えて、さらに2割が加算されます。

パートナーを守る3つの対策

  1. 遺言書の作成(必須)
  2. 生命保険の活用(受取人をパートナーに指定)
  3. 納税資金の準備(預金や保険で税金分を確保)

事実婚のパートナーに財産を遺す場合は、税負担まで考慮した計画が必要です。専門家に相談することをお勧めします。

対策4:「形式選び」で実行力が変わる

遺言書の3つの形式を紹介します。どれを選ぶかで、安全性や手続きのスムーズさが大きく変わります。

3つの形式比較表

形式費用※安全性家庭裁判所の検認オススメ度
自筆証書遺言(自宅保管)0円必要★☆☆☆
自筆証書遺言(法務局保管)3,900円不要★★★☆
公正証書遺言5万円前後不要★★★★

※費用には、専門家や証人への報酬額を含んでいません。

各形式の特徴

1. 自筆証書遺言(自宅保管)

  • メリット:費用ゼロ、いつでも書ける
  • デメリット:紛失・改ざんのリスク、形式不備で無効になる可能性

2. 自筆証書遺言書保管制度(法務局保管)

  • メリット:低コスト、安全に保管、形式チェックあり、検認不要
  • デメリット:自分で法務局に出向く必要あり、遺言の内容までは確認されない

3. 公正証書遺言

  • メリット:公証人が作成、最も確実、原本が公証役場に保管、検認不要
  • デメリット:費用がかかる、証人2人が必要(証人への報酬も必要)

実際に利用されている遺言書の多くは、公正証書遺言です。
費用はかかるものの、法律の専門家である公証人によるチェックを経ているので、遺言内容の実行性が高いためでしょう。

まずはここから:最初の一歩

ステップ1:自筆証書遺言を書いてみる 
まずは下書きでもOK。考えを整理することが大切です。

ステップ2:法務局保管制度を利用する 
3,900円で紛失や改ざんを防ぎ、安全性が大幅に向上します。

ステップ3:専門家に相談する 
複雑な財産がある場合や確実に遺言の内容を実行させたい場合は、公正証書遺言を検討しましょう。

よくある質問

遺言書はパソコンで作成してもいいの?

自筆証書遺言は「自筆」つまり手書きで書く必要があります。遺言書に付属する「財産目録」はパソコンでの作成が認められています。

「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」どっちがいい?

費用を抑えたいなら「自筆証書遺言」ですが、確実性を取るなら「公正証書遺言」

  • 自筆証書遺言: 手軽で費用がかからない反面、書き損じで無効になるリスクや、紛失・書き換えの恐れがあります。
  • 公正証書遺言: 公証人が作成するため、形式不備で無効になる心配がほぼありません。原本が公証役場に保管されるので紛失の心配もありません。

夫婦で連名の遺言書を作ってもいい?

連名(共同)での遺言は法的に認められていません。1人ずつ作成してください。

遺言書に附言事項は必須ですか?

附言事項は必須ではありません。しかし、遺族に意思を伝えて相続時のトラブルを防ぐには大変有効です。

まとめ:遺言書は「家族への最後の手紙」

遺言書作成の4つの対策をおさらいします。

  1. 付言事項で想いを伝える 財産の分け方だけでなく、理由と感謝を書く
  2. 遺留分に備える 法律で保護された権利を理解し、対策を立てる
  3. 事実婚パートナーを守る 遺言書+税金対策が必須
  4. 適切な形式を選ぶ 法務局保管または公正証書遺言がおすすめ

今すぐできる3つのアクション

  1. 家族構成と財産をリストアップする 誰に何を残すか、全体像を把握しましょう
  2. 付言事項の下書きを始める 家族への想いを言葉にしてみましょう
  3. 専門家に相談する 複雑なケースは、早めに相談することが大切です

よくある質問(FAQ)

遺言書はいつ書けばいいですか?

できるだけ早く書きましょう。

遺言書を書いた時に、遺言者に判断能力や意思能力(遺言能力)があったかどうかが争われることがあります。特に、再婚した方、事業を営んでいる方、財産が複雑な方は早めの作成をお勧めします。

遺言書の費用はいくらですか? 

法務局保管なら3,900円、公正証書遺言なら5万円前後(財産額によって変動)です。
我々、行政書士や司法書士などにサポートを依頼するときは報酬が必要となります。

一度書いたら変更できませんか?

何度でも書き直せます。日付の新しい遺言書が有効になります。
最初に書いてから期間が空いている場合は、書き直すことをお勧めします。財産や相続人の状況にも変化が起きていることもあるでしょう。

自分で書いても有効ですか?

有効です。

ただし、形式要件(全文自筆、日付、署名、押印)を満たす必要があります。また、意図と異なって解釈されるような文面で記載すると遺言の内容が

不安な方は専門家への相談をお勧めします。

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